自殺率の高いA町
このA町は実際の集落の名前は伏せられていますが本の中身を見ていれば何となく場所はわかります。
ここではその町を特定することはしません、また今現在の状況(自殺率の改善)はわからないので余計な事はしません。
地図でなんとなーくその辺りを見てみると、なんてこともない、画面上では集落の地名が文字として浮かびあがっているだけ。
目印になるようなものは何もない。
そのようなところは山林地帯になっている事が多いですね。
このA町はとにかく山の中です。紅葉で有名なのと温泉があるということで。渓谷と呼ばれる地形に属することが想像できます。
想像するに、ここで生活することは、今現在でもちょっとしんどいのではないかと思います。
町に出るのに車で出ないと絶対に無理で、お年寄りは車を持っている人を雇ったりタクシー料金半額補助を利用して町に出ているそうです。
水道水は山の水を使用しているが、ホースやその他備品のメンテナンスにもお金や手間もかかる、冬には60~100㎝ほどの雪が降るそうです。除雪費用も町の負担になっている事でしょう。
金が出ていきます。
人が少ないです。
急峻な地形なので、畑も斜面にあり農作業も重労働になり、お年寄りたちは若いころからの負担がかさみ、足腰に大きな負担がかかり自由に歩くことが困難な方も多いそうです。
また、車でないと家の敷地から出られないような場所に家があると、足腰が悪いと家の敷地から一歩も出られず。誰彼と会話をすることも無いような生活をしている方もいるそうです。
戦争時代を生き抜いたご老人の話では、カエルやタンポポを食べ、少ない米を炊いてその出汁を飲み、飢えをしのいでいた時期もあったようです。
このA町の方々の気質は
我慢強く克己心があり、私的な問題で助けてくれとはなかなか言い出せない人たち
引用【生き心地の良い町】 岡檀(おかまゆみ)・著 講談社
ということだそうです。
みなさん真面目で、我慢強く、人に頼らないで、自分の事は自分でする。そして、自分でどうにもならなくなったときは、自分で自分を始末する。
A町の人たちのことを他人事のように思えなくなっている自分がいました。
引用【自殺会議】末井昭・著 朝日出版社
自分から(助けが必要です)という事が言い出せない、言い出さないそうですが、きっと助けたいが助けてあげられるような余裕のある人が地域を通して少なかったもしくはいなかったのだと思います。
地域全体、皆で地獄のような貧しい生活をしていれば、自分だけ…と弱音を吐く場所が無いのはカンタンに想像できますよね。
辛い、痛い、ひもじいのは自分だけじゃない、みんなそうなんだ、だから弱音を吐くわけにはいかない、といったところでしょう。
辛い思いを表に出したいけれど、出さない出せないなんて現代の都会の中でも普通にありますよね。
現代に例えるのならば、誰しもたくさんの仕事を抱えているのだから、有給休暇が取りずらい、定時に帰れないなんてことは、まさにこのような部分なのではないでしょうか。
そのような事はA町だけの話ではない事です。他の地域でも同じようなところがあるでしょうし、現代を生きる日本国民の中に知らず知らずのうちに脳の中にインプットされている事のように思えます。
その理由は、日本は自殺が多い国ということが証明しています。
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