鉄道乗務員の体験談・人身事故と遺体搬送

自殺

どんな事故だった?

私が遭遇した事故は、時間は昼過ぎで、踏切外から線路へ侵入した人が電車と衝突してしまいました。

駅の手前の踏切だったので速度は80~90㎞/hほどでしょうか、緊急ブレーキがかかって周辺の列車を一斉に停める無線機の警報音が鳴り響き列車が停まりまして、運転士から”マグロ”ですって連絡が入ります。

車掌は一番後ろの運転台にいますので、衝突の瞬間は見ていません、事故の瞬間は運転手しかわかりません。

最近の電車は、車でいうドライブレコーダーがついていますので、事故があるとそれを警察と一緒に確認します。

 

余談ですが、運転士さんの話を聞くと人身事故の被害者とは衝突の瞬間目が合ったりするそうです。また、列車が前進するときは車体の空気抵抗によって空気が下から上へ舞い上がるそうで、衝突の直前に女性の方などは髪の毛が逆立ったりスカートがめくれあがったりするそうです。

 

さて現場です。

緊張しながら電車を降りて現場に向かい、車体の下にゴロンと何かが転がっているのを確認できて、これが、それかってすぐにわかりました。

60代男性 ジャージ姿

アルコールと動物性油脂のような生臭い臭いが漂っていました。

首はきれいに切断され、

左目は飛び出してどこかに無くなっており、

上着ははだけて無くなり、上半身は裸

 

また余談ですが、体が車体と線路の砂利や道床に引きずられる状態ですと、衣服はそぎ落とされる形で裸同然になることが多い。他に跳ね飛ばされたり、車体と車輪と線路に潰されて、ボロぞうきんを絞ってバラバラにしたような状態になる場合もある

 

左わき腹は40センチほど裂けているが内臓は飛び出してはいない、

左肩は筋でかろうじて繋がっている。

そんな状況でした。

今回は、比較的きれいな状態です。

・あえてグロい描写(決して大げさな描写ではありません)をした理由は、鉄道飛び込み自殺の遺体の損傷はとても悲惨なものですということを伝えたかったからです。

どう思った?

これは、本当に自分でもちょっと信じられないのですけど、

何とも思わない

そう、何とも思わなかったのです。

きっと、仕事中の出来事なので早く処理して早く運転を再開しなくてはいけないなという気持ちが強かったのだと思います。

また、新人だったということもあって、とにかく必死だったのを覚えています。

レスキュー隊が用意したタンカに胴体や頭を載せるのですが、この頭が本当に重いのです。

頭が車体の下にあるもんで片手で持とうとしましたが重くて持ちきれず、気持ち悪いから髪の毛をつかんで引きずり載せる。(本当は頭は両手で持つのが良いそうです)ごめんなさい

脇腹が裂けているので内臓が飛び出ないように気を付けながらタンカに載せる。

こんな作業をしていても

何とも思わなかったのです。

人間の肉片とも思わず、まるで土嚢を運搬しているような気分でした。

またまた余談ですが、最近は乗務員が直接遺体の搬送を行うことはほとんど無いように感じます。事故現場の地理的条件にもよりますが、遺体の搬送はほとんどレスキュー隊が行います。

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