劇中内における二つの遺書
ここでは、ストーリーに沿っていくことはしません、遺書という描写の部分にのみスポットを当てて考えて行きます。
二つの例を挙げてみたいと思います。
一つ目の例では、
オープニングからいきなり遺書が出てきます。
物語は、一通の遺書から始まります。
50年間、一年に一度、誕生日に届く手紙、それは大昔に死んだひいおばあちゃんが、おばあちゃんへ宛てた手紙です。
現在を生きる、ひ孫のデイジー目線から過去へ遡ります。
ひいおばあちゃん(戦後、ヴァイオレットが郵便社で働いていた時代。大昔に若くして亡くなる)年に一度の手紙を※ドール(後で述べます)に依頼→
おばあちゃん(物語上の現在、蓄音機の時代 先日亡くなる)→
お母さん(物語上の現在、蓄音機の時代 仕事が忙しく娘(デイジー)や先日亡くなった母親(おばあちゃん)との時間があまり作れない)→
ひ孫・名はデイジー(物語上の現在、蓄音機の時代 自分 お母さんと過ごす期間が少なかったのを根に持っているために、お母さんに冷たくあたる事もある)
そのひ孫・デイジーがひいおばあちゃんの手紙を手に取り、想いを偲ばせるという場面があります。
なぜ、死んだ人から毎年手紙が届き続けたのかというと、依頼人(ひいおばあちゃん)が郵便社に自分の娘(おばあちゃん)宛てに、毎年誕生日に手紙が届くように依頼していたのです。
ひいおばあちゃんは、病気がちで死期が近づいているのを悟って、自分の愛する子供が辛く悲しく落ち込んでいる時に勇気を与えられるようにと、ドールに代筆を依頼していたのでした。
現在(蓄音機の時代)では、文字を書ける人がほとんどいる事と、電話が普及しているので代筆業などという職業は無くなっています。
そのひ孫は、ひいおばあちゃんやおばあちゃんに想いを偲ぶため、当時の代筆業やドールの事を自分で確かめるために、旅に出かけるといったようなオープニングです。
ヴァイオレットが生きていた時代は、大昔ひいおばあちゃんが生きていた時代です。
そこから物語が始まります。
そして、話はヴァイオレットがドールとして生きていた、過去にさかのぼります。
二つ目の例は、
病気のユリスという少年がヴァイオレットに遺書の代筆を直接依頼するといった内容です。
ユリスは重い病気にかかってるようで、3回の手術をして一年間ベッドの上の生活をしていました。不安やイライラしている事ももちろんあるようで、家族や友達には少し冷たい態度をとるようになってしまいます。
本当は、みんな大好きで感謝の気持ちを伝えたいのだけれど、素直になれずにいる自分と残された時間が少ない事を受け止めて、ヴァイオレットに自分の死後に家族に手紙を書いて欲しいと代筆を依頼したのでした。
自分が死んだ後家族が元気で生きて行けるようにと遺書の代筆を依頼するのでした。
セリフを一文紹介します。
ユリス…
冬が来る前に僕もきっと冷たくなっちゃうんだ
ヴァイオレット…
それでもユリス様が遺されたお手紙はご両親と弟さんの心をあたためると思います。
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